鳥肌モノの現実 -まるまるマラウイ-

マラウイで地域おこしに携わっていた2008~2010年のブログ ”まるまるマラウイ~素顔のアフリカ~” のリバイバルシリーズをお届けしています。

ネガティブなイメージの強いアフリカの明るい面を伝えるとともに、初心を思い出して今に活かすという意味も込めて・・・♪

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鳥肌モノの現実

2009/10/02(金)

 

『アフリカ・レポート-壊れる国、生きる人々』
(松本 仁一 著,岩波新書)

アフリカに行くと言ったら先輩がすすめてくれた一冊。
著者が朝日新聞の記者として30年近くアフリカを取材してきた
その中間レポートという位置づけで書かれています。

赴任前にさらっと読んだときは
まだアフリカがいまいち遠くて、リアルにイメージをつかめなくて
頭を素通りしてしまった感がありました。

けれど、最近あらためて読んでみて
あまりのリアルさにゾワーッと鳥肌が立ちました。

最近わたしがマラウイで感じていたのと同じ変化が
他のアフリカ諸国では数年前からすでに起こっていたという事実。
それが綿密な取材をもとに書かれていて、夢中で読みました。
そっか、やっぱりそうだったんだ!っていう感じ。
マラウイで感じていた事というのは
ビジネスに来る中国人のこと。

私が赴任した1年前と比べても、確実に、着実に、
まるで布に水が染み込んでいくようにジワリジワリと
中国人と彼らによるビジネスが増えているのを感じます。

たとえば小さな個人商店ばかりが並ぶオールドタウンという繁華街に
ある日突然、ドーンと体育館サイズの超激安雑貨店ができたこと。
家具から文房具、洋服、レトルト食品などの
商品のほとんどが中国製。
他の店にない商品を求めて群がる
マラウィアン、マラウィアン、マラウィアン。。。

10年前くらい、住んでいた熊本に急にチェーン店タイプの
巨大激安ドラッグストアが各種できだして
昔からあった個人薬局が
どんどん姿を消していったのを思い出しました。

そして、街なかやレストランで見かける中国人の人口が
どう考えても増えていることなど・・・。
今まで漠然と「アフリカのしかもマラウイなんてマイナーな国に
いくらビジネス目的とはいえ移住するなんて、中国人って強いなあ。
日本人だとなかなかできないよなあ。性格の違い?」
くらいに思っていましたが、この本では
中国人がアフリカに進出してきている事実が
中国側とアフリカ側の背景とともに説明されています。

マラウイの話題こそ出てきませんが
まったく同じ理由による中国人の進出が
いくつかのアフリカ諸国ではもう何年も前から始まっていたようです。

何が起きているかというと、

先進国(ここだと中国)が国家形成が遅れている国に目をつけ

資源持ち出し・市場化する

こういうシステムは、武力を用いない 合法的な植民地支配ということで
「新植民地主義(ネオコロニアリズム)」と呼ばれるそうです。

そして今、アフリカでは
中国が新植民地主義の主役になろうとしている。
つまり、中国政府がアフリカの石油を持ち出し
中国人商人が安い中国製品を持ち込んでその国の市場を占拠する
という方法で。

しかも、アフリカの指導者たちは自国の産業の保護に
努力するべきなのにむしろ中国に協力的でいて、
国家の富が他者に奪われていく。

うかうかしてるとマラウイも中国人に乗っ取られてしまう・・・
そんな危機感を裏付けるような内容でした。
他の話題には、政府内の腐敗や
アフリカから逃げ出してパリや日本で暮らす人々の苦労など。

アフリカ政府の腐敗については日本でもよく耳にしますが、
自分の目で確かめないと100%は信じられないという
私の悪い癖で、なんとなくどこかで
ほんとに事実か?さすがにそれは無理なんじゃ?
と思っているふしがありました。

けれど、マラウイで1年も色んな役人の言動を見ていると
うーん、ありえる。と思えてしまいます。
この本で取り上げられているのはジンバブエなどですが
他の国でも、あきれて笑えてしまうくらいの
私腹を肥やすための政治が行なわれていることが
容易に想像できるな、と思うようになりました。

ちなみに、今のマラウイはずいぶん腐敗は減っているみたい。
アフリカと一言で言っても、サハラ以南のアフリカには47ヵ国。

それらアフリカの国家は今、大きく ↓ の
4つのタイプに分けられるそう。

(1)政府が順調に国づくりを進めている国家
→ボツワナくらい

(2)政府に国づくりの意欲はあるが、運営手腕が未熟なため進度が遅い国家 →ガーナ、ウガンダ、マラウイなど10ヵ国ていど

(3)政府幹部が利権を追いもとめ、国づくりが遅れている国家
→アフリカで一般的なタイプ。ケニア、南アなど

(4)指導者が利権にしか関心を持たず、国づくりなど初めから考えていない国家 →ジンバブエ、アンゴラ、スーダン、ナイジェリアなど
国によって違えど、基準レベルが低すぎです。

それにしても、著者が何十年もかけて苦労して取材したことが
たった数百円で読めちゃうなんて!!
恐れおおくて足組んでなんか読めませんね(笑)
本って、きっと世の中で一番安い商品だよなあ、ほんとに。。。

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