マラウイでの仕事内容、こんな感じです -まるまるマラウイ-

マラウイで地域おこしに携わっていた2008~2010年のブログ ”まるまるマラウイ~素顔のアフリカ~” のリバイバルシリーズをお届けしています。

ネガティブなイメージの強いアフリカの明るい面を伝えるとともに、初心を思い出して今に活かすという意味も込めて・・・♪

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マラウイでの仕事内容、こんな感じです

2008/10/29(水)

 

仕事といっても青年海外協力隊員は
ボランティアという位置づけですが、
普段どこで何をやってるのか簡単に紹介してみます!
<きっかけ>

国際協力NGOの国内事務所で3年働くうちに
現場のことをもっと深く知りたくなって協力隊に参加

<私の要請内容>

隊員に応募する時は、「要請書」(求人情報みたいなもの)
をもとに希望の職種と要請を選んで第3希望まで応募し、
選考の結果、派遣が決まります。

私の場合、村落開発普及員という職種で前任者から
業務を引き継ぐ形で派遣されました。
(他に、前任者がいなくて新規で派遣される要請もあります。
活動のゼロからの立ち上げでこれはこれで面白そう!)

私が要請を選ぶときは、アフリカ圏で公用語が英語で
あること、農村開発に関わる活動であること、
JICA職員や他の協力隊員、コンサルタントなど色々な
立場の人がチームで仕事をしていること、を基準に選び、
第2志望だったマラウイの一村一品事務局での
活動に決まりました。
(ちなみに第一志望はザンビアの
孤立地域参加型村落開発計画(PaViDIA)っていう
プロジェクトで、これも何とも魅力的でした。
田舎の小さな村々を回りながらの活動)

マラウイでは地域振興のために一村一品運動(1980年から
大分県の全市町村で始められた地域振興運動)の手法を
取り入れていて、一村一品事務局はその活動の中心と
なっている組織です。

配属先からの要請としては、

「一村一品事務局では、マラウイ地域産品のプロモーションやマーケティングにも取り組んでいるが、これらの活動は各スタッフが兼任で行なっているのが現状。協力隊員に、一村一品産品の市場価値向上のための助言と統一的マーケティング支援、新規商品の開拓支援を行なってほしい」

というものでした。
派遣前に与えられた情報は、ほぼこれだけです。

あとは、前任者とメールでやりとりしたり
一村一品事務局のスタッフに直接メールしたり
前任者の報告書を読んだり。
というわけで、他の隊員もみんな似たりよったりですが
具体的なことは全て赴任してみないとよくわからない
という状況でした。

アフリカで英語を使って農村開発の仕事に関われる
という条件が満たされているだけで
他はたいして気にはなりませんでしたが、
行ってみないとどんな職場でどんな日常を過ごすのか
ほとんど想像がつかないというのは
不安と期待でドキドキでした。

<配属先と具体的な活動のこと>

赴任して1ヵ月くらいはオリエンテーションとか
語学研修を受けて、それから配属先で仕事を始めました。

私の配属先は、地方自治地域開発省(Ministry of Local
Government & Rural Development)の傘下にある
一村一品事務局(One Village One Product Secretariat)で、
頭文字のOVOPをとってオボップ事務局と呼ばれています。

そもそも、オボップ事務局ができたのは2003年。

マラウイは人口の85%が農業従事者という農業国であるにも
かかわらず、農作物を加工しないまま取引することが多くて
商品の価値が低いため、家計が充足していない
農業従事者が多いという課題を抱えています。

そのため、マラウイ政府は2003年にオボップ事務局を設け、
一村一品運動(One Village One Product;OVOP;オボップ)
を通じた農産物の付加価値向上と地域産品振興に
取り組んでいます。

首都リロングウェにある一村一品事務局には、事務局長、
ビジネス担当職員1人、マーケティング担当職員2人、
グループ協同組合化担当職員1人、
プログラムオフィサー1人がいて、
南部の商業都市ブランタイヤと北部のムズズの地域事務所に
各1名のプログラムオフィサーがいます。
ちかぢかマラウイ全土の地方自治体にも担当者を
置くべく、4市28県に他の業務と兼任での
一村一品運動担当者を配置する計画も進んでいます。

以上の現地人スタッフに加え、JICA長期専門家2名、
私を含めた青年海外協力隊員3名(村落開発普及員、
デザイン、食品加工)が配置されていて、
2005年からはJICAによる「マラウイ一村一品運動のための
制度構築と人材育成プロジェクト」(2010年終了予定)
の支援も受けています。

オボップ事務局の職員たちは、農村の小規模な農民グループ
を対象として農林水産物の品質改善や加工技術の普及、
農民グループに対する経営・マーケティング能力の向上の
ための研修やアドバイスなどを行なっています。
そして、このような人づくり、物づくりの活動を通じて、
マラウイ地域産品の付加価値が向上し、マラウイ全体の
経済発展に寄与して行くことが最終的な目標とされています。
私はマーケティング振興課に所属していて、
マーケティング担当職員のMr.ピリがカウンターパート
(受け入れ担当者のこと)です。
私みたいなまだ経験も浅い20代の隊員だと普通は、
カウンターパートも同年齢かちょっと上くらいで同僚という
位置づけになるのですが、私の場合はちょうどいい役職の人が
事務局にいなかったそうで、ピリさんは実質上ボスの立場。
年齢も40歳くらいです。

赴任後にピリさんほか配属先スタッフと打ち合わせをして
主に、1)オボップ・アンテナショップの経理業務
2)商品のマーケティング、3)新たなオボップ商品の発掘
を中心とした業務を担当することになりました。

オボップ・アンテナショップというのは
顧客調査も兼ねてオボップ商品を販売するパイロット店です。
現在、首都リロングウェの小さな店舗を借りて
2人のショップスタッフと一緒に経営しています。

私の赴任直前の2008年8月に、前任者の隊員さんが主体になって
オープンして経理などもやってきたのを引き継ぐ形で、
配属後すぐに経理業務などを始めました。
この仕事は、ゆくゆくは現地人スタッフに引き継ぐ
予定だそうなので、まず私が慣れたら、帰国までの間に
引継ぎを行いたいなと思っています。

2)と3)は、これからカウンターパートのピリさんと
話し合いながら具体化していきたいなと思っています。

+ + + +

ちなみに、なぜまたアフリカで
日本の大分県発祥の一村一品運動(オボップ)なのか?

マラウイ政府が小農、零細業者、貧困層の対策を
課題として色々な手段をさぐっていたことと、
日本側からのアプローチと、
両方が繋がってオボップ導入に至ったようです。

『一村一品運動と開発途上国』(アジア経済研究所,2006)
という本には以下の点がきっかけだと書かれていました。

まずは、1993年のTICAD(東京アフリカ開発会議)に参加した
在京マラウイ大使館職員が大分県の一村一品運動を視察して
強い関心を持ったのをきっかけに、在京マラウイ大使館が
大分の一村一品運動に関する調査を始めたこと。

JICAの研修で来日したマラウイの研修生が参加した
地域振興や農村開発の集団研修で、継続的に大分県の
一村一品運動の事例が紹介されたこと。

そして、JICAがマラウイで一村一品運動の可能な地域の
ピックアップなどをした上で、マラウイ政府に先駆けて
独自にパイロット事業を展開したこと。

さらに、大分県の平松県政は当時、一村一品運動を通じた
ローカル外交を進めており、その念頭にアフリカでの
一村一品運動普及のモデルとしてマラウイを位置づけよう
とする意図があったと思われること。

これらのきっかけからマラウイと日本との間で
10年くらいにわたって関係者が交流をつづけ、
2003年のオボップ事務局設置につながったようです。

横浜で行なわれた2008年のTICADでは、一村一品運動を
今後アフリカ全域へ広げることでアフリカの課題を解決
していきたい、という計画が発表されました。

一村一品運動を導入するということがふさわしいのか
ふさわしくないのかは私にはまだ判断がつきませんが、
人づくり、物づくりによって内側からアフリカを強くしていく
というスタンスは大きく間違っていないのでは?と思います。

オボップでの活動を通じて、優れた面、よくない面も
探っていけたらと思います。

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